2018年は国がよりいっそう「働き方改革」を勧めてきます。
その影響で副業を容認する企業が増えたり、あなたの周りで副業や起業をする人も増えてくるでしょう。
もしあなたが数年後に起業しようと思っているのであれば、今からしっかり準備をしておくことをお勧めします。
その準備とは…
まず起業するにあたってやることの順序を知って「起業の全体像を把握すること」です。
その起業するためのやることの順序を細かく書かれている本が「アントレプレナーの教科書」です
今回はこの「アントレプレナーの教科書」のポイントをお伝えします。
起業する時のよくある失敗パターン
起業する時のよくある失敗パターンは「自分のアイデア」やそのアイデアを元にした「製品づくり」からスタートしてしまい「顧客づくり」を後からやってしまうパターンです。
この「製品づくり」からスタートするパターンは、まだ物があまりなかった時代には、とても有効でした。
しかし、現代は贅沢をしなければ日常生活に必要なものは、ほぼ身の回りにある人たちが多い世の中です。
なので「アイデア」をもとにして製品づくりを始めたり、事業計画書づくりからスタートするのではなく、最初に「あなたのアイデア」を買ってくれる顧客がいるかの「仮説と検証」を繰り返し、顧客の反応を見て製品やサービスの改善や軌道修正を行う。
このやり方が起業を成功させる確度を高くするやり方です。
この仮説と検証を繰り返す手法をリーンスタートアップと呼んでいて「構築 - 計測 - 学習 」をコンセプトにしています。
このリーンスタートアップを提唱しているのが「アントレプレナーの教科書」という本です。
この本では仮説と検証を繰り返し、顧客の反応をみて、製品やサービスの改善や軌道修正をおこないながら、顧客づくりをしていく具体的なステップを下記の4つのステップで説明しています。
ステップ1:顧客発見
ステップ2:顧客実証
ステップ3:顧客開拓
ステップ4:組織構築
この4つのステップのポイントを以下にお伝えしていきます。
ステップ1:顧客発見
ステップ1では、あなたのアイデアや製品を必要としている「顧客はどこにいるのか?」そしてその「顧客の課題とニーズを解決できるのか?」の「顧客発見」の検証に集中します。
まずはあなたのアイデアや製品を使ってくれる顧客が誰なのかを具体的にしなければ、万人に受ける製品を作っても結局誰にも売れないという状況になります。
この「顧客はどこにいるのか?」「顧客の課題とニーズを解決できるのか?」という問いは、すべてのビジネスの心臓部です。
その心臓部の顧客発見からまずはスタートです。
では、具体的に「顧客発見」をどうするかというと、それは「会社の外に出ること」です。
外に出てあなたの「アイデア」や「製品の特徴」を顧客になりそうな人に話すことによって、顧客がどんな課題に一番頭を悩ませているのか?
そしてその課題を解決出来るあなたの「アイデア」や「製品の特徴」に興味を示すのかを聞くことです。
ステップ2:顧客実証
「顧客実証」での目的は「見込客までの道筋」と「見込客が顧客になる道筋」を構築することです。
さらにその道筋が繰り返し可能であることを実証することが目的です。
この「見込客までの道筋」「見込客が顧客になる道筋」を本書では「営業ロードマップ」と呼んでいます。
ステップ1であなたのアイデアや製品を買ってくれる顧客がどこにいるかがわかり、その顧客の課題とニーズがわかったとはいえ、その人たちへあなたのアイデアや製品の価値を伝える営業ロードマップはまだできていません。
この営業ロードマップができる前に売上計画を立てても、結局はこのアイデアや製品の価値を伝える道筋は必ず必要です。
売上計画を立てるのは「顧客になる見込客をどうやって見つけるか?」そして「見込客が製品を購入して顧客になるプロセス」の仮説と検証をおこなってから取り組むべきことなのです。
具体的に営業ロードマップをつくるプロセスを「アントレプレナーの教科書」ではこう解説しています。
第1フェーズ:販売の準備
あなたのアイデアや製品の価値を明確にして、どのルートで見込客を集め、販売までたどり着けるかの仮説と検証をおこなう
第2フェーズ:エバンジェリストユーザーへの販売
あなたのアイデアや製品の価値をわかり、すぐにでも買う準備がある見込客(エバンジェリストユーザー)へ実用最小限の機能を備えた製品を販売して、フィードバックをもらう
第3フェーズ:企業と製品のポジショニングを検討
見込客へ販売して得たフィードバックを元に、最初のアイデアや製品を改善し、企業と製品のポジショニングを再検討する
第4フェーズ:確認
これまで得た結果をまとめ、次のステップの「顧客開拓」へ備える
ステップ3:「顧客開拓」
顧客開拓では「顧客への商品告知」や「購買意欲の促進に必要な基本的なマーケティング」などの顧客開拓活動を実施します。
実施方法としては、あなたのアイデア、製品を「既存市場」「再セグメント化市場」「新規市場」のどの市場タイプに当てはまるのかを選定して活動します。
なぜ、市場タイプを選定してから、顧客開拓活動を実施するかというと、市場によって顧客開拓の戦略や戦術は全く違うからです。
具体的な市場タイプとその戦略はランチェスター戦略を活用した図で決定します。
ランチェスター戦略は世界でもっとも広く利用されている戦略の1つで、弱者が強者に立ち向かうための戦略手法です。
このランチェスター戦略で多くの企業が実践し、競争を勝ち抜き売上を伸ばしてきました。
ステップ4:「組織構築」
今までの3つのステップでは、顧客を発見し理解すること、エバンジェリストユーザー(初期採用者)への販売によりそれを実証すること、そして市場と製品需要を開拓することに注力してきました。
そして「顧客づくり」の最終ステップとなる次の課題は「組織」です。
今までの「学習と発見のための組織」から「実行のための整備された機械」へ転換する必要があります。
「機械」という単語があるので抵抗が出るかもしれませんが、このステップ4までくればスタートアップの段階を脱して、次の段階へと移動できる準備が必要です。
それは今までは「学習と発見」を中心とした形式ばらない組織形態でしたが、これからは営業・マーケティング・事業開発に権限と責任を持たせ意思決定をそれぞれができるようになる組織形態を作る準備です。
組織構築する具体的なフェーズは次の通りです。
第1フェーズ:広範囲な顧客グループを獲得する体制を構築する
今までは実用最小限の機能を備えた製品に反応する顧客だけに販売してきましたが、このフェーズでは汎用的な製品にして広範囲な顧客グループを獲得できる組織体制を作ります。
第2フェーズ会社にとって合理的なミッションを中心とした企業文化作り
会社をさらに大きくしていくためにCEOや経営幹部にその能力があるかを評価して、新しい企業文化づくりをしていく段階です。
第3フェーズ:機能別部門への移行
今までの顧客発見、実証、開拓してきた部隊を一旦解散し、公式的にそれぞれの機能を持った部門へと移行する段階です。
第4フェーズ:即応性の高い部門の構築
これまでどおり意思決定を迅速に行うために、前フェーズで移行した部門を即応性の高い部門へと構築していく段階です。
まとめ
この「アントレプレナーの教科書」は起業を始めるにあたってやることの順序が細かく書かれ、無駄なく起業するのにはとても参考に成る本です。
今回はこの本の「顧客発見」「顧客実証」「顧客開拓」「組織構築」の4段階のポイントだけをお伝えしましたので、もっと書く段階を詳しく知りたい方は、是非本書をお読みになることをお勧めします。